研究内容

上妻研究室 Kozuma lab.

東京科学大学 総合研究院 量子航法研究センター
東京科学大学 理学院 物理学系

研究内容


Science(科学)は大きく二つに分けることができます。一つは、役に立つかどうかという下心を持たず、純粋な好奇心に従って自然の深い理解を目指すキュリオシティドリブン研究です。他者の評価ではなく、自らの「なぜ?」を原動力とする研究とも言えます。もう一つは、社会の現場で生じている課題に応えるために行うニーズドリブン研究です。社会の問題の多くは、Engineering(技術を組み合わせ、コスト・安全性・時間などの制約の中で実装すること)で解決できますが、それでも解決できない場合は、Technology(新たな手法や手段の創出)が必要になります。さらにそれでも足りない場合、最終的に立ち戻るべきものが Science です。本研究室では、キュリオシティドリブン研究とニーズドリブン研究とを明確に分け、両者を高いレベルで推進しています。


1. キュリオシティドリブン研究:「磁石としてふるまう中性原子気体の量子的性質の解明」


レーザーを用いて真空中の原子をマイクロケルビン(μK)まで冷却し、さらにボース・アインシュタイン凝縮を実現することで、そこで現れる新たな物性現象を探究しています。対象はランタノイド系原子であるユウロピウム(Eu)です。この原子種のレーザー冷却およびボース凝縮に成功している研究室は、世界でも私たちだけです。「原子が磁性を帯びているとき量子的気体はどのように振舞うのか」という純粋な問いに挑みます。


2. ニーズドリブン研究:「原子のド・ブロイ波を用いた超高感度量子航法装置の開発」


原子の光学遷移が普遍であることを利用して超高精度な時計を実現したのが原子時計です。私たちは同じ原理を用いて、加速度や角速度を極めて高精度に測定できる量子慣性センサーを開発しています。さらにこれらを統合することで、「時刻」ではなく「位置」を推定する量子航法装置の実現を目指しています。GPSが使えない海中での海洋資源探査、GPSそのものが存在しない宇宙空間での活動――人類の活動領域を拡張するための基盤技術として、本研究を企業との共同研究を通じて推進しています。


すべてを自分たちの手で


レーザーを作り、制御回路を設計し、プログラムを書き、装置を動かし、未知の物性を発見する。Science・Technology・Engineering のすべてを自分たちの手で往復する研究が、ここにはあります。一緒に、世界でまだ誰も見たことのない現象と装置を生み出してみませんか?


研究室への所属を希望する学生さんへ

当研究室に所属をした学生さんには、研究を行う上で必要な技術を習得するための勉強会に最初に参加頂きます。そこでは、プレゼンテーション技法、電子回路設計方法、電子回路実装方法、CADによる機械設計、NC旋盤による機械加工、プログラミング、電子機器との通信手法、などについて実習頂きます。これにより、大学院入試終了後、卒業研究を円滑に進めることができ、また他大学から大学院に進学された学生さんも敷居なく研究活動にはいれるように工夫しています。また、当研究室では、毎年1回、研究室の学生さんとともに海外の国際会議に参加し、グローバルな活動を行うように務めています。しっかりと研究を進めれば、学部生の間に海外で講演を行うことも可能です。